「収納が足りない」「モノの置き場所がない」——これは、住まいに関する不満の中で常に上位にランクインする悩みです。特に中古マンションは、築年数が古いほど収納スペースが少ない傾向があります。しかし、リノベーションなら間取りそのものを見直すことで、暮らしに最適な収納を実現できます。
この記事では、リノベーションで収納を充実させるためのアイデアを間取り別に紹介し、費用の目安や失敗しないためのポイントを詳しく解説します。
1なぜ収納計画が重要なのか
国土交通省の「住生活総合調査」によると、住まいへの不満の第1位は「収納の少なさ」です。特に築20年以上の中古マンションでは、現代のライフスタイルに合った収納が設計されていないケースが多く見られます。
収納が不足すると、部屋にモノが溢れて生活空間が狭くなるだけでなく、掃除がしにくくなったり、探し物に時間を取られたりと、日常のストレスが増えていきます。逆に、適切な収納計画があれば、同じ面積でも驚くほど広く、快適に暮らすことができます。
収納率の目安
住まいの床面積に対する収納面積の割合を「収納率」と呼びます。快適に暮らすための目安は以下の通りです。
8〜10%
マンションの理想的な収納率
12〜15%
戸建ての理想的な収納率
築古マンションでは収納率が5〜6%程度のケースも多く、リノベーションで8%以上に引き上げることで、暮らしの質が大きく向上します。
2間取り別・収納アイデア
玄関まわり
玄関は「家の顔」であると同時に、靴・傘・コート・ベビーカー・アウトドア用品など、意外と多くのモノが集まる場所です。リノベーションでは、以下のような収納を計画できます。
シューズクローク(SIC)
玄関横に設ける土間収納。靴だけでなく、ゴルフバッグやキャンプ用品、ベビーカーなども収納可能。ウォークスルー型にすれば動線もスムーズです。
費用目安:30〜60万円
壁面収納・コート掛け
玄関の壁面を活用した収納棚やコート掛けスペース。帰宅後すぐにコートを掛けられるので、リビングにモノが散らかりません。
費用目安:10〜25万円
リビング・ダイニング
家族が最も長い時間を過ごすリビング・ダイニングは、収納の工夫次第で見た目も使い勝手も大きく変わります。「見せる収納」と「隠す収納」のバランスがポイントです。
壁面収納(テレビボード一体型)
テレビ周りを壁面収納にすることで、AV機器・本・雑貨をすっきり収納。扉付きにすれば生活感を隠せます。造作家具なら部屋のサイズにぴったり合わせられます。
費用目安:40〜100万円
小上がり収納
リビングの一角に30〜40cmの小上がりを設け、その下を引き出し収納に。畳を敷けば和のくつろぎスペースにもなり、来客時の布団収納にも便利です。
費用目安:25〜50万円
キッチン
キッチンは調理器具・食器・食材・家電など、収納すべきモノが最も多い場所の一つです。リノベーションでキッチンの収納を見直すことで、料理の効率も大幅にアップします。
パントリー(食品庫)
キッチン横に設ける食品・日用品のストック収納。まとめ買いした食材や調味料、非常食の保管に最適。ウォークインタイプなら大容量を確保できます。
費用目安:20〜50万円
背面カウンター収納
対面キッチンの背面に設ける収納カウンター。食器棚・家電置き場・作業台を兼ねた多機能収納です。扉付きにすればリビングからの見た目もすっきり。
費用目安:30〜70万円
寝室・クローゼット
衣類の収納は、量だけでなく「取り出しやすさ」と「しまいやすさ」が重要です。リノベーションでは、ライフスタイルに合わせた最適なクローゼットを設計できます。
ウォークインクローゼット(WIC)
2〜3畳のスペースがあれば、夫婦2人分の衣類を十分収納可能。ハンガーパイプ・棚・引き出しを組み合わせて、衣替え不要の収納を実現できます。
費用目安:30〜60万円
ファミリークローゼット
家族全員の衣類を1カ所にまとめる大型クローゼット。洗濯→干す→しまうの動線を短くでき、各部屋に収納家具を置く必要がなくなります。
費用目安:40〜80万円
洗面・サニタリー
洗面所は限られたスペースにタオル・洗剤・化粧品・ドライヤーなど多くのモノを収納する必要があります。デッドスペースの活用がカギです。
洗面台造作+収納
既製品ではなく造作の洗面台にすることで、洗面ボウル下の収納を最大化。鏡裏収納やニッチ棚を組み合わせれば、小物もすっきり片付きます。
費用目安:25〜50万円
ランドリー収納
洗濯機上のデッドスペースを活用した収納棚。洗剤・柔軟剤・タオルのストックを収納。室内干しスペースと組み合わせれば、洗濯動線が完結します。
費用目安:10〜20万円
3収納リノベーションの費用まとめ
収納リノベーションの費用は、規模や仕様によって大きく異なります。以下に、代表的な収納リノベーションの費用目安をまとめました。
| 収納タイプ | 費用目安 | 工期目安 |
|---|---|---|
| シューズクローク(SIC) | 30〜60万円 | 3〜5日 |
| 壁面収納(テレビボード一体型) | 40〜100万円 | 5〜10日 |
| パントリー | 20〜50万円 | 3〜7日 |
| ウォークインクローゼット | 30〜60万円 | 5〜10日 |
| ファミリークローゼット | 40〜80万円 | 7〜14日 |
| 小上がり収納 | 25〜50万円 | 3〜7日 |
| 洗面台造作+収納 | 25〜50万円 | 3〜5日 |
費用に影響する要素
- 造作 vs 既製品:造作家具はサイズぴったりで高級感がありますが、既製品の1.5〜2倍の費用がかかります
- 間取り変更の有無:壁の撤去・新設を伴う場合は、収納工事単体より費用が上がります
- 素材のグレード:扉材・棚板の素材によって費用が変動。メラミン化粧板なら比較的安価です
- 電気工事:照明やコンセントの追加が必要な場合は、別途電気工事費がかかります
4収納リノベーションで失敗しないための5つのポイント
1. まず「持ちモノの棚卸し」から始める
収納を増やす前に、今持っているモノの量と種類を把握しましょう。不要なモノを手放してから収納を計画することで、本当に必要な収納量が見えてきます。「収納を増やす=モノを増やしてもいい」ではありません。
2. 「使う場所の近く」に収納を配置する
収納の鉄則は「使う場所にしまう」こと。料理道具はキッチンに、タオルは洗面所に、コートは玄関に。動線を意識した収納配置にすることで、片付けのハードルが下がり、自然と部屋が整います。
3. 「可変性」を持たせる
ライフステージの変化に合わせて収納の使い方も変わります。棚板の高さを変えられる可動棚や、仕切りを自由に動かせるシステム収納を選ぶことで、将来の変化にも対応できます。
4. 「奥行き」を適切に設定する
収納の奥行きは深ければいいというものではありません。奥行きが深すぎると、奥のモノが取り出しにくくなります。用途に合わせた奥行き設定が重要です。靴なら35cm、本なら30cm、衣類なら60cmが目安です。
5. 「見せる」と「隠す」を使い分ける
すべてを扉の中に隠す必要はありません。お気に入りの本や雑貨は「見せる収納」として飾り、生活感の出るモノは「隠す収納」にしまう。このメリハリが、おしゃれで機能的な空間を作るコツです。
5収納リノベーションの成功事例
事例1:3LDK → 2LDK+大容量収納(名古屋市千種区・70㎡)
ご家族構成:30代ご夫婦+お子さま1人
お悩み:3LDKだが各部屋が狭く、収納も少ない。子どものモノが増えてリビングが散らかりがち。
リノベ内容:使っていない1部屋を解体し、大型ファミリークローゼット(3畳)とパントリー(1畳)を新設。リビングは壁面収納を造作。
費用:約180万円(収納関連のみ)
結果:収納率が5%から12%に向上。リビングからモノが消え、お子さまの遊びスペースも確保できた。
事例2:玄関+洗面の収納強化(名古屋市名東区・65㎡)
ご家族構成:40代ご夫婦+お子さま2人
お悩み:玄関に靴が溢れ、洗面所にタオルや洗剤の置き場がない。
リノベ内容:玄関横にウォークスルー型シューズクローク(1.5畳)を新設。洗面所は造作洗面台+壁面収納に変更。
費用:約110万円(収納関連のみ)
結果:玄関がすっきりし、来客時も恥ずかしくない空間に。洗面所の使い勝手が大幅に向上。


